水へし・小割り

「水へし」は、玉鋼を熱して薄く打ち延ばす工程のことです。鋼を熱する炉のことを「ホド」と呼びますが、まずはこのホドの中へ玉鋼を入れて加熱します。この玉鋼を熱することを「赤める」と言います。玉鋼は半溶解なので、高温で最初から打ってしまうとばらばらになってしまいます。なるべく低温で熱し、軽く叩き、鋼がなじんできたら徐々に温度を上げ、強く叩いていきます。この工程は、単に鋼を延ばすのではなく、長年の技術と勘を要する非常に難しい作業です。

 

厚さ3~6mmほどに伸ばしたら、熱が冷めないうちに素早く水の中に入れて急冷(焼き入れ)します。この際、炭素量が多いものは自然に砕け、そうでないものは次の工程で細かく砕くことになります。

 

この工程において技術が必要とされることは、玉鋼を叩く時の金敷への置き方です。上質な玉鋼は金敷の中心であればどのように寝かせても問題ありませんが、そうでないものは置き方によっては細かく砕けてしまったり、上質な玉鋼を活かせなくなってしまったり、後の工程に差し支えたりします。

 

次工程の「小割り(こわり)」は、水へしで薄く延ばされた鋼を、小割りする作業です。鋼を平箸などでつかみ、小槌で叩いて2~2.5cm四方の大きさに砕きます。更にその中から良質なものを選び、皮鉄(かわがね)用と心鉄(しんがね)用とに分別します。

 

炭素含有量が程よい鋼はすんなり割ることができるので、この小割りの作業中にごく小さな粒が飛散しますが、多くは良質なものであることから、集めて卸し鉄の材料に再利用されていました。